a fortune paper。

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もたもたしてたら置いてくぞ、なんて言われたから彼の傍まで走った。 「ちょっと待ってよ!あれ、本当?」 俺の前を先々歩く彼の腕を引っ張った。 後ろを振り向かずに彼は。 「さぁ、どうかな」 「本当だよねっ?ね!」 くすっと笑った彼は俺に左手を差し出して。 「え?」 何がなんだか解らなくなって戸惑う俺。 「さみーのに手も繋がねぇなんて最悪。そろそろ別れようかな」 新年早々なんてこと言うんだろう。 でも、彼から手を繋ごうなんて珍しくて。 そんな小さなことでも俺にとっては嬉しい。 「申し訳ありません、お嬢様」 「つか、お嬢様じゃねぇし」 「今すぐ抱きしめてちゅーしたい」 俺の右手を握る力が少しだけ強くなった。 「だめ」 横から窺える彼の耳が赤い。 「帰ったらしていい?」 「去年よりもたくさん。 …お前になら何されても恐くないから」 突然の告白に驚いて何も言えない。 「俊?」 「だから早く家帰んだろ」 「なんなの。 可愛すぎて俺の心臓もたない」 「ばーか」 今年も幸せが沢山訪れる一年でありますように。 end. 何はともあれ、 今年も宜しく お願い致します。
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