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重たい腰を上げて布団から起き上がると、肌をさすような冷たさが襲う。
「さみっ…」
ベッドの隣にはすやすやと安定した寝息をたてて眠る恋人、基、奥さんがいた。
新婚夫婦の俺達は、同じベッドで昨夜初めての夜を過ごした。
初体験だと彼から聞いたときは驚いた。
でも、それが当たり前。
恥じらいながらも小さな声を漏らす彼が可愛くて、俺は彼に優しくしてあげる余裕をなくしていった。
「…ん」
寝返りをうって、眠たそうに目を擦る彼。
「おはよ」
俺の顔を見た瞬間、目を大きくして布団を頭まで被ってしまった。
「どしたの?」
布団をめくろうとすると、ぐっと力を込めて俺にめくらせないようにする彼。
「昨日のこと?」
布団越しから聞くと
布団の中の身体がぴくっと反応したのがわかった。
きっと恥ずかしいんだ。
俺は何だか嬉しくなって、布団を剥いだ。
「ちょっ…」
彼を見ると、頬を薄紅色に染めて泣いていた。
「なんで泣いてるの?」
「…や、昨日のこと思い出して…怖くなった」
「可愛い俊見てたら余裕なくしてさ…ほんと、ごめんね」
「俺って、その…」
「ん?」
シーツを握ってもじもじしながら彼は。
「あ…っ」
「あ?」
泣かなくなった彼は俺の目をしっかり見つめて。
「…あい…されてんのか?」
彼から聞いておいてまたうっすら目に涙をうかべる。
「なんで今更?」
「あんなことした後でもまだ実感…わかなくて」
「へぇ」
「なんか…わり――っん」
愛されている実感がわかないという彼の唇を強引に奪った。
昨夜と同じように甘く、掠れた声を漏らす。
苦しいって俺の胸を押してきても離してやらない。
「…っは…バカじゃねぇの…っ」
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