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都会の冷たく乾いた風が僕を撫でる。
コートを羽織っているが、今日はいつもより風が強く、肌寒く感じられる。
僕はふと後ろに振り向いた。
名前を呼ばれたような気がしたからだ。
少女が僕に向かって走ってきた。
少女はこちらに手を伸ばしている。
僕も手を伸ばした。
手と手が触れた瞬間、少女は冬の乾いた空気に霧散した。
消えた少女を追うように、僕は空を見上げた。
灰色の空を編隊飛行する戦闘機の姿があった。
僕は思い出した。
石川県、滋賀県、三重県より東は日本人民共和国、それ以外の地域は日本国だった東西分断時代を。
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