Episode1.さくら色な乙女のスガオ

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「あー……ダメだ、心配すぎて歩けねぇ」 「とは言え、歩かなければ遅刻となる」 「くそ、揚げ足取りやがって……」 オレの腐れ縁な幼馴染み、赤星 貴臣は、重度のシスコン。 事あるごとに妹を心配し、妹と比べたりする。 おそらく姫乃ちゃんは、内心では呆れているだろうが、それを受け止めているようにうかがえる。 「ほら、行くぞ」 「う……わ、わかったよ」 半ばムリヤリ貴臣を現実に連れ戻し、オレは校舎へと向かった。 「それにしても。やっぱ、ある意味で決戦だよな、この日って」 貴臣がそう言う。 目の前には無数の人だかり。そのすべてが熱い視線を注いでいるのは、クラス発表の掲示紙。 貴臣の言うことは、あながち間違いではないだろう。 「見えるか?」 「んー……なんとなく」 オレは視力は悪くはないが、なんせ人が多い。 ぎゅうぎゅうに押されながら、上から確認するのは容易いものではない。 「お、お、お」 どんどん人混みが進んでいく。 合わせて、オレと貴臣も前へ進んでいる。 「お、見えた! 一馬、皆勤賞記録更新だ」 「クラスは……2ーC」 ようやく見えた紙には、そう記されていた。 オレと貴臣は、やはり腐れ縁だった。 「よし行くぞ、あんま時間がねぇ!」 「あ、おい、ちょっと待て貴臣!」 貴臣は、我先にと人混みを掻き分け、入口へと走っていった。 出遅れたオレは、もう一度紙を見て、驚いた。 「白石……砂羽……!?」 オレの名簿の次の番号に、そう確かに記されていた。 「こうしちゃいられねぇっ」 オレは、一目散に人混みを掻き、入口へ急いだ。 ……会える! しかもそれどころじゃねぇ……! 「やっぱ、諦めなくて正解だったか!」 意気揚々に、オレは先を急いだ。
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