Episode1.さくら色な乙女のスガオ

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2ーC教室に着くと、廊下にはまたしても人だかり。 こいつらのお目当ては、言うまでもなく“校内最高美少女”だろうな。 「ごめん、ちょっと通して」 人混みを掻き分け、なんとか教室にたどり着き、座席表を確認した。 縦×横が7×6の机列びになっており、オレは窓側から二列目の先頭だ。 そして後ろには、彼女の名前があった。 「……よっしゃ」 オレは小さくガッツポーズをした。 席に着こうと振り向くが、どうやらオレの席は無いようだ。 「ねぇ、白石さんの趣味ってなあに?」 「趣味ですか? 趣味は、マン…………読書です」 「どんな本読んでるのー?」 「ど、どんなと言われても……さ、様々な分野のものですよ。ほら、ミステリーとか、純愛とか」 彼女は怒濤の質問攻めにあっている。 オレの席は、質問している他の女子にあっさり取られていたんだ。 「ねぇねぇ白石さん、好きな男の子とかいるの?」 とたんの質問。オレの耳が釘付けとなった。 「えぇ!? そ、そんなの急に……」 「いいから教えて? いるかいないか、イエスかノーでいいから」 なぜだ。なぜこんなにオレが緊張しているんだ? 「は、はぁ……。い、いませんよ。物語として恋愛ものはよく読みますけど、そういったことにさほど興味がないから」 で、ですよねー……。 って、だからオレ、なんでこんなに反応してるんだ? わずかな期待か? んなの毛頭もないことはオレが一番わかってんだろうが……。 「えー、うそー!? 白石さん絶対モテるでしょ? なのに興味ないの!?」 「も、モテるかどうかは別として、わたし自身は、本当に興味がないんです」 あー……なんだろ。いまの彼女の言葉が、結構グサッとくるんだが。 「……って、こうしちゃおれん」 なんて落ち込んでいたが、取られている席を取り返さねば。 「とはいえ……なぁ」 とても、あんなに見事な女の園に近付けない。 近付いただけで犯罪者扱いとか、最近はざらにあるらしいし。 まあ、女の方が、被害妄想が過ぎるだけかもしれないが。そういう事例は。 「……まあいいか。時間が来たら、勝手に散らばるだろ」 今日は入学式もあるんだから、教師が静めてくれるはずだ。 そう祈りつつ、オレは窓際に行こうとした。
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