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君は茶を飲まなかった。
君は素早く右手を腰のホルスターへと伸ばし、拳銃を構え村長の額を撃ち抜いた。
村長の額に穴が空き、ぐらりと後ろへと身体が傾く。しかし次の瞬間には、村長は何事も無かったかのように元の位置に戻った。
勿論、額には穴を空けたまま。
「はて、何故ばれたのでしょう。上手く誤魔化していたつもりだったのですが」
村長が口をいびつに歪ませながら言うと、村人達は君を取り囲んだ。
君は村長を見て、こう言った。
「ハンターとしての勘だ」と。
常に『死』と隣り合わせのこの仕事で、経験の少ない君が今まで生きて来られたのは、その第六感のお陰だった。
村長がゆっくりと口を開き、それに続くように村人達も口を開く。
そこには――立派な牙が二本生えていた。
それはバンパイアの証である。
バンパイアが人間に自らの血を与えることにより、人間はそのバンパイアの隷属となり、バンパイアとなる。
恐らく村人全員が、隷属となってしまったのだろう。
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