Vampire Hunter

5/16
前へ
/16ページ
次へ
君は茶を飲まなかった。 君は素早く右手を腰のホルスターへと伸ばし、拳銃を構え村長の額を撃ち抜いた。 村長の額に穴が空き、ぐらりと後ろへと身体が傾く。しかし次の瞬間には、村長は何事も無かったかのように元の位置に戻った。 勿論、額には穴を空けたまま。 「はて、何故ばれたのでしょう。上手く誤魔化していたつもりだったのですが」 村長が口をいびつに歪ませながら言うと、村人達は君を取り囲んだ。 君は村長を見て、こう言った。 「ハンターとしての勘だ」と。 常に『死』と隣り合わせのこの仕事で、経験の少ない君が今まで生きて来られたのは、その第六感のお陰だった。 村長がゆっくりと口を開き、それに続くように村人達も口を開く。 そこには――立派な牙が二本生えていた。 それはバンパイアの証である。 バンパイアが人間に自らの血を与えることにより、人間はそのバンパイアの隷属となり、バンパイアとなる。 恐らく村人全員が、隷属となってしまったのだろう。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加