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「私なんかがアイドルなんて、無理です! ぜーったい無理です!」
あんなテレビの中とかで、華やかに歌って踊るアイドルに、私なんかがなれるわけがないです。
確かに憧れた時期はありましたけど……。
「いや、君は自分が思っている以上可愛いよ? 勿論、外見だけじゃなく中身もね?」
「かわっ、かわ……」
しれっとそんな事を言う男性に、言葉がこれ以上出なくなってしまいました。
「ま、今すぐにじゃなくても良いから、ちょっと考えてみてよ。あ、そうだ」
何か思い付いたように男性は懐から取り出した名刺を私に差し出します。
「ごめんね。そう言えば俺も名前をまだ教えてなかったし、君の名前も聞いてなかった。俺は島崎。君は?」
「え、えっと……緒方智絵里です」
名前を名乗ると島崎さんは、
「緒方智絵里! 可愛い君にぴったりないい名前だね」
と、再びしれっと言った。
もう、私には俯いて黙るしか無かった。完全に相手のペースにはまってしまったみたいです……。
アイドルのプロデューサーって皆こういうこと言うのに慣れてるのかな……。
多分、私、この時顔真っ赤だったと思います。うぅ、恥ずかしい……。
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