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事の起こりを思い出している内に、事務所の入り口に辿り着いていた。
さっきまでの勢いは一歩進む毎に縮こまっていき、今は面影なくいつもの弱気な私に戻っていました。
そのおかげで入り口の前に立ち尽くし、扉を開けることが出来ません。情けないよぅ……。
「うぅ……帰りたい」
ついに弱気を溢したその時でした。
ガチャ――ガンッ!
中から扉が勢いよく開かれ、咄嗟の出来事に反応出来なかった私は、ノーガードで思いっきり頭をぶつけました。
あまりの痛みに苦痛はもはや言葉になりませんでした。唸ることも出来ずその場に頭を抱え、しゃがみこみます。
考えてみればそうですよね。こんな所に立っていれば当然ですよね。
うぅ、痛いぃ。
「わーっ! ごごごごめんなさいっ! まさか人が居るとは思わなくて! あぁ! 大丈夫ですか! きゅきゅきゅ救急車っ! 誰か救急車を! 誰か……誰か助けてくださーいっ!」
扉を開けたっぽい女の子がパニックを起こしているようで大騒ぎしていました。
……そこまで大袈裟な事では無いと思いますと言葉には出さないけど、突っ込める位には回復したようです。
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