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二日間の休日が終わり、迎えた月曜日の朝。今日は日直であることを思い出し、俺はいつもより若干早く学校に来ていた。
職員室から学級日誌をもらい、三階まで一気に駆け上がる。新校舎から渡り廊下を通り旧校舎へ向かおうとした俺の視界にある女子生徒の後ろ姿が見えた。
「おーい、木下。おはよー」
「ん?あぁ、水無月君おはよう」
無視していくのも憚れた俺はとりあえず挨拶をする。
彼女は、木下優子。小柄な体形で、目つきがきついため可愛いというより美人という言葉が似合う中学時代のクラスメートだ。
「ずいぶんと早いな。いつもこんな感じなのか」
「まぁ、だいたいこんな感じよ。三年も同じクラスだったんだからそれくらい知ってるでしょ」
「はは、そうだったな。ついでに言うと猫かぶっているところも相変わらずだな」
そういうと、木下は眉をひそめたような顔になった。
おっと、こいつにそれは禁句だったな。
「それにしても先週はお疲れ様。たしかFクラスだけじゃなくてCクラスともやったんだよな」
これ以上刺激しないように少々強引に話題を変える。それを目ざとく察したのかコホンと咳払いをする。
「えぇ、少し手こずったけど知ってのとおり勝ったわよ。ほんと、バカばっかで嫌になるわ」
「そーいや、なんでCクラスは宣戦布告してきたんだ?FクラスはともかくCクラスがこの時期に戦争を仕掛けても勝てないのはわかりそうなことだと思うんだが」
そう尋ねると、木下は苦虫をかみつぶしたかのような表情をする。
「うちの愚弟がFクラスだから作戦で私のふりをして挑発したみたいなのよ」
「……………」
なんというか……苦労してるな……
俺はいけないと思いつつも同情の視線を送った。
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