無自覚って罪だと思う

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「けど、FクラスにもCクラスにもAクラスには勝てないことを身をもって思い知らせてやったわ」 「CクラスはともかくFクラスには追いつめられてたけどな」 「ッ!?あ、あれは姫路さんがいたからで本来ならば私たちが圧勝するはずだったのよ!」  珍しく言い訳まがいなことを言う木下。学年最低なんて揶揄されるFクラスにあそこまで追い詰められたことがよほど悔しかったのだろう。 「まぁ、指揮官が雄二なら仕方がないだろ。あれでも元神童だし」 「……坂本君ってあの神童だったの……?」 「そうだけど……知らなかったのか?」 「ええ。だって、うわさされるほどの天才があんなクラスにいるなんてふつう思わないわよ」 「まあ、人は見た目では測れんからなぁ……ところでひとつ聞いていいか?」  一通り慰めた(?)後で表情を改めて尋ねる。木下は不思議そうな顔をしながらうなづいてくれた。 「お前は今年一年何処にも負けないと思ってるか?」 「?当たり前でしょ。話になるわけないわ、Fクラスにだって普通にぶつかれば余裕よ」  特に偉そうに言うわけでもなく普通に答える。本人には自覚はないのだろうが、その言葉には自尊心が見え隠れしているように感じた。 「そうか……わかった、ありがとう。俺日直だからそろそろ行くわ」 「ええ、それじゃあね」  聞きたいことを聞いた俺は足早にその場を去った。 「……まったく木下は忘れてるぜ、俺が嫌いなものがなんなのか……」  小さく洩らした俺の独り言は誰の耳にも届かず、旧校舎に溶けて行った。
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