早起きは三文の徳とは限らない

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◇◆◇◆ あれから一時間ぐらい体を動かし、俺は自分のクラスへ向かっていた。 時間にはまだ余裕があるのだが、「クラスメートとのコミュニケーションをとっておいたほうがいいんじゃね?」的な考えになり、体育館から引き揚げてきたのだ。 「Eクラスは旧校舎だから……あっちか」  三階まで昇り、渡り廊下から旧校舎に向かう。その時チラッと見えたAクラスの設備には驚きと呆れの両方を感じた。 「あそこまで露骨にやらんでもいいのにな……」  生徒を試召戦争、ひいては勉強に焚き付けるためにクラス設備に差があるのだが、チラッと見えただけでもノートパソコン、リクライニングシート、巨大ディスプレイ、シャンデリア、などなど多くの設備があった。これを見ると勉強に焚き付けるため以外に学園長の趣味が混じっている感じが否めない。  そう思いながら旧校舎に踏み込み、挨拶しながら2-Eのドアを開けた。 「おはようございまーす」 「ん?あぁ、おはよ………うわ、バカっぽいのが来た」  第一声が罵倒かよ!? 「なんであんたがここにいるのよ?」  なんだこいつ、すんごく失礼な物言いなんですけど。  声のする方を睨み付けるように見た。  背丈はだいたい160センチくらいで、そこそこに引き締まっていて無駄な肉のなさそうな体つきをしている。 顔立ちはかわいい系だが目つきが少しきつい。 そして、トレードマークというべき黄色いヘアバンドを頭に付けた女子生徒がいた。 「朝から罵倒とはずいぶんな教育を受けてきたんだな中林」  彼女は去年のクラスメートの中林宏美。何かと衝突(というより向こうが勝手に突っかかってくるのだが)することが多く、俺との相性が良いとは言えない微妙な関係のやつだ。 「あんたに言われる筋合いはないわよ。っていうか質問に答えなさい」 「言わなくてもわかってるだろ。試験の結果が悪かったからここにいるんだよ」  中林の顔をジト目で見ながら答える。恐らくただ単に言わせたかっただけだろう。
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