早起きは三文の徳とは限らない

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「まあ、私がクラス代表だし、名簿も見させてもらってたから知ってたけど」  やっぱりか……って、え? 「イマナントオッシャッタノデスカナカバヤシサン?」 「名簿を見せてもらった?」 「その一個前」 「私がクラス代表だって言ったのよ。馬鹿なの?」 「嘘だ!!!!!!!!!」 「私が代表なのがそんなに気に入らないわけ!?」 「え……?いやだって、中林って、単純だし、頭に血が上りやすいし、大雑把だし、脳筋だし、正直な話クラス代表にはあまり向いていらっしゃらないなーと思いましてね」 「あんたの中の私ってそんなイメージなの!?」 「はっ、つい本音が……」 「むきぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃい!?」  顔を真っ赤に染めて俺に詰め寄ってくる中林。普通なら女の子(不細工は除く)が詰め寄ってくるのはオイシイ展開なのだが、目が血走ってるし、撒き散らされる殺気のせいで、俺の第六感が音量最大で鳴っていらっしゃるのですが!? 「落ち着け中林!俺たちが争うのは不毛だ!」 「うるさあぁぁぁぁああい!」 「あべしっ!?」  な、殴られた……そして鳩尾にきれいに決まった……  膝から崩れ落ちた俺をごみを見るような冷たい視線を浴びせ、教室から出ていく中林。 その姿を視界の端にとらえながらふらふらっと立ち上がり、鳩尾をさする。 「いたたたっ……まったく、本気で殴らんでもよかろうに」 正直ちょっと言い過ぎたと思う節もある。だけど、とてつもなく嫌な感じがするんだよな。何せ――――― 「―――――あの腹黒神童がいる以上平穏なんてありえないだろうしな……」  俺の言葉は虚空に消えて行った。
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