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しつこく罵倒する中林にそう返すと遠慮がちに古河が話しかけてくる。
「でも、水無月君。もしFクラス代表がわざと手を抜いていたとしても一人でどうにかなるとは思えないけど……」
「なかなか鋭いな古河。そう、仮に坂本がAクラスレベルまで勉強ができるようになっていたとしてもあいつは前線で戦えない。
どんなに点数が取れていても大人数で同時に攻撃されれば捌くことは難しいし、喰らえば点数は減る。
それに坂本がやられればFクラスの負けだからな」
古河の勘の良さに若干驚きながら、それだけでは勝てないことをわかりやすく解説する。
古河は理解できたようだが、隣の中林はあまり理解できていないようで、心なしかイラついているように見える。
「俺がFクラスが勝つといったのにはもう一つ理由がある。
憶測にすぎないが上位クラスレベルの人間、あるいはそれに匹敵する点数を持つ奴らがいるからだろう」
「どうしてそんなことがいえるのよ?」
「一応根拠はある。俺たちEクラスではなくDクラスに宣戦布告したからだ」
もうほとんど答えを言っているようなものだが、二人ともまだ理解できないでいるようだ。
「坂本が高得点を出していても前線で戦えない理由はさっき説明したとおりだ。クラス代表だから点数が高くても討ち取られたら負けになる。
でも、高得点者がクラス代表でなければ話は別だ。戦力は減るもののそいつが戦死しても負けにはならないし、相手からしても討ち取っても勝ちにはならないから全戦力で打ち取るっていう荒業もできない。
だから相手どる人数も必然的に減るから攻撃を捌くことが容易になってくる。おまけにAクラスだろうがFクラスだろうが人数は全クラス同じだから、高得点者が大立ち回りして、それ以外が討ち漏らしを討つっていうスタイルなら上位クラスと渡り合える」
一呼吸おいてまた話し出す。
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