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「ハァ…ハァ…」
木々がうっそうと生い茂るジャングルの隙間を、縫うように走る男が一人。
「ガァァアァァ!!」
そして、その男の影を狙い、木々を薙ぎ倒して怒りの表情を浮かべて追いかける、全身を毛皮で覆った猛獣が一頭。
その猛獣の目には生々しい切り傷が刻まれている。
おそらく、男が刃物で猛獣の目を斬り、猛獣を怒らせたのだろう。
「くっそ!
こんな密林の中じゃあ上手く動けねぇ!
とにかく、どこか広い場所に出ねえと!」
男は密林をしばらく走ると、ようやく出口を発見した。
「よし!出口だ!」
その出口を走り抜けると、男は驚愕した。
「れ、レベル78、暴竜バオロン!?
なんでこんなところに…」
なんと、密林を抜けた広い丘には狂暴なドラゴンが、あろうことか怒り心頭で暴れ狂っていたのだ。
「クソッ!どうなってんだ!!」
そのドラゴンは旋風を巻き起こしながら、足元に尾をたたき付けている。
誰かが戦っているのか?
男はドラゴンの近くに人の影を一つ確認した。
「ん?よく見たらあいつ初期装備じゃねえか!
死にたいのか!?」
その人影は女性のようで、太刀一本でバオロンと闘っていた。
(あいつ、死んだな。
あいつにゃ悪いが、今のうちに逃げよう。)
そうして男はまた獣との鬼ごっこを再開したのだった。
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