第02章 出逢

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【1人目/5人】 「はぁっ……はあっ……」 彼は今、駅前の商店街通りを疾走している。 なぜか。 その理由は成り行き上によるものだ。 彼の職業はプロサッカー選手 ─────だった。 お世辞にも勉強に向いているとは言えなかった彼だが、しかし運動にはそれなりの自信を持っていた。 スポーツをやらせれば、それが始めてだったとしても、見よう見まねでそれなりにこなせるセンスを持っていたし、続けたら続けたでコツを掴むのがうまかった。 そんな彼が中学で選んだ部活は、柔道部だった。 入部当初から才能を見込まれて、2年でエース。3年の時は、個人戦でトキオエリア優勝を勝ち取った事もある。 対して団体戦では、チームメイトの成績が振るわず万年1回戦敗退。 しかし彼は団体戦に惹かれた。 正確には"仲間と一緒に目標に向かう"事に。 「汗臭いし、恰好悪いんだよね」 照れ隠しで言った一言は、しかし彼の性格を知る仲間は嘘と知りつつ理解してくれた。 そういった経緯を経て、彼は個人戦のある柔道を捨てて、チームで戦うサッカーへと転向した。 髪型を坊主頭からツンツン頭にし始めたのはこの頃だ。 浅黒い肌に、あちこちのパーツがデカい顔。良し悪しで言えばイケメンの類に入る彼の顔は、しかし第一印象で言われるのはいつも「顔が濃い」である。 そんなコンプレックスを打破しようとした渾身の髪型は、今では彼のトレードマークになっている。
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