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エドエリア
ハンゾウ城
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ワノクニ最大の都市、エドエリア。
国家の主要機関が集中し、モンスターの影響力の少ない安全性の高いエリアである。
6年前に、そのど真ん中に西洋文化をふんだんに取り入れて建設された城は、ハンゾウ城と名付けられた。
周囲の和風家屋との和洋不折衷ぶりや、西洋の城に和風の名前を付けるネーミングセンスは、まさに建設者である首相"榊貞一"の西洋かぶれの真骨頂である。
表向きは有事や災害時における、政治家や要人、諸外国からのVIPなどの避難目的の施設として。
榊貞一が趣味と権力誇示の為に国民の血税が惜しみ無く投与されたその城は、シャンデリアからコップに至るまで全てが友好国であるベイコクの最高級品で取り揃えられ、また外部からの如何なる攻撃にも耐え得る外壁を要した要塞として、君臨していた─────
はずだった。
煌びやかだったハンゾウ城は、今や本来の姿はそこには無く、外装は朽ち、装飾もそのほとんどが原型を留めていなかった。
もはや電気など通っているはずのない城の内部は、ガラスの割れた窓や壁の亀裂から外が伺える。
その最上階。
本来の主、榊貞一が座るはずの玉座には、あるモンスターが座っていた。
大魔王"ルシフェル"。
それがこの城の、今の主の名前である。
大魔王と言いつつも、外見は人間のそれと大して変わらない。
いや、むしろ人間を遥かに超えた中性的な美しさを要しており、壁の亀裂から漏れる月明かりがその妖美さを更に引き立たせていた。
「……来たか」
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