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重い摩擦音。
ルシフェルの呟きにほぼ間を置かず、目の前の重厚な扉がゆっくりと開かれた。
そこに現れたのは、1人の人間だった。
純和風の甲冑に身を包んだその姿はすでにボロボロで、トレードマークの“六文銭”の刺青には、大きなX印が刻まれていた。
鎧の至る所に傷が付き、破損して露出した肌は、血と汚れから赤褐色に染まっている。
最上階に辿り着くまでに、数え切れないほどのモンスターを倒してきたのだ。
体力も限界に近づいており、肩で息をしている。
しかし、大魔王を見据えるその目は死んではいなかった。
「流石は……草薙幸村、だな」
ルシフェルは、玉座からゆっくと立ち上がりながら相手の名を呼んだ。
幸村はルシフェルに聞く。
「降伏しろ。無益な殺生はしたくない」
「─────お前に何が分かる! 降伏など、無い!!」
ルシフェルは激昂した。そして、それが開戦の合図となった。
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