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持ち上げたルシフェルの右手から、紅蓮の炎が巻き上がる。
幸村は剣を構えながらルシフェルへと突進し、速度を緩める事無く放たれた炎を紙一重でかわす。
しかし、かわした先にコンマ数秒の時間差で放たれた電撃が迫っていた。
幸村は体をひねりながら剣の腹で電撃を受け流し、ひねった体をそのまま1回転させてルシフェルへと剣を向ける。
小気味良い音と共に、ルシフェルの右拳が宙に舞い、拳を失った右腕から血が飛び散った。
しかし同時に、ルシフェルの左手から放たれた水流が幸村を吹き飛ばす。
「……っ!」
吹き飛ばされたのは、上半身だけだった。堪えた下半身でしっかりと態勢を保ち、そのまま二撃目を繰り出す。
ルシフェルは拳を失った右腕でそれを防ぎ、更に右腕を短くする。
幸村は、返り血を浴びながら思う。
(魔法の溜めが速い。次の発動まであと0.5秒位か)
ルシフェルの左手から振り下ろされた火炎は、目の前を燃やし尽くす。
しかし幸村は、既にルシフェルの背後に回り込んでいた。ルシフェルの足元の焦げ跡から生々しい臭いが広がる。
ルシフェルはゆっくりと幸村へ向き直り、再び出来る間合いに静寂が広がる。
幸村は無傷─────
と思われたが、右肩を焼かれていた。
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