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時間にして約30秒。
それは互いが互いの実力を認めるには充分な時間であり、互いに出した結論は「実力はほぼ同じ」であった。
しかし、幸村はここに至るまでに激戦を繰り返している。
(長引けば、体力的に不利)
実際、この30秒の戦闘でも片や汗1つかいておらず、片や呼吸が乱れ始めている。
歴戦の勇者幸村である。この状況下でも焦りは無い。しかし急ぐ必要は感じた。
幸村は、ゆっくりと目を閉じる。
「"心眼"!」
ルシフェルの筋肉の動きが、いや細胞の動きが視える。
幸村の様子を伺いながら、ルシフェルもまた魔力を溜め始めている。
一瞬外れる、幸村の視線。
そこを突いたルシフェルから放たれた風が竜巻となり、幸村を包み込もうとしたその瞬間─────
「"光速"!」
勝負は、ついた。
外れた視線はフェイント。
本物の実力者のみが見抜ける程の僅かな隙ですら罠に出来るその格闘センスは、少なくともその一瞬だけはルシフェルを遥かに凌駕した。
そしてその一瞬こそ、両者の明暗をはっきり分けるものだった。
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