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ルシフェルも、理解した。
この一撃が。
この瞬間こそが致命傷である事を。
そして"敗北"。
その2文字。
幸村の、光の速さの一閃は、的確にルシフェルの心臓を貫いていた。そして剣が引き抜かれた次の瞬間、左胸は大量の血を噴き出していた。
天を仰いだルシフェルの意識は、あがらう術も無く闇の中へ引きずり込まれていく。
「……草薙……幸村ぁぁあッ……」
弱々しくも、心に響くその言葉は、ルシフェルにとって最後の言葉となった。
砂ぼこりを立て、その体はゆっくりと地面に沈んだ。
「……終わった」
そう、全てが終わった。
幸村は口に出した後、剣を鞘にしまいながら心の中で重複した。
いつの間にか日が昇り、幸村を優しく照らしている。まるで彼を祝福するかの様に。
思えば長かった様で、短かった半日だった。
必然的に、この12時間足らずの出来事が走馬灯の様に駆け巡る。
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