2学期の始まり

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その後ミィーコに招き猫のようなポーズで、亜鈴に挨拶をさせた。 「あっ、……初めまして。私は、円藤亜鈴だよ」 それから、亜鈴もミィーコに自分の名前を言ったあと、ミィーコの前足を掴み握手をした。 「ねぇ、どうして、このクラスには猫がいるの?」 「あっ、それはね……」 ミィーコと握手をしながら亜鈴は、ヨコになぜ5年1組で猫が飼われているのが疑問に思いながら聞いてみた。 するとヨコは、亜鈴にミィーコとの出会いからの長い話を始めた。 その話は約30分ほど続き、ヨコが語るミィーコとの出会いを聞き、亜鈴はこのクラスになぜ猫が飼われているのか理由がわかった。 「まあ、そういう訳なのよ。洋子ったら、もうずっと学校にいる間はミィーコの世話をしているのよ」 「私も、つい数か月前にこのクラスに初めてやって来たときは、教室に猫がいて驚きましたわ」 「へへん、どうだいリン! 教室で猫を飼っているなんて凄いだろ?」 ミィーコが教室で飼われている理由を聞いたあと、ミィーコの顔をジッと見続けている亜鈴に、メグとサイカとチノは先程のヨコの話を聞いて、自分で思っている事を言った。 その話を聞きながら亜鈴は、ミィーコの顔をジッと見て深く考え事を始めた。 「ねぇ、みんなもミィーコの事が大好きなんだよ。亜鈴も毎日ミィーコに会いに来てもいいんだよ」 ミィーコの顔をジッと見続けている亜鈴を見てヨコは、亜鈴はミィーコの事をとても気に入ったのだと思い声をかけてみた。 そして、亜鈴はピンッと脳裏に何か閃めき、それをヨコに言った。 「ねぇ、洋子、この猫って今飼い主を捜しているんだよね? だったら、家で飼ってもいい? 私、猫が欲しい」 「え!? まさか、亜鈴がミィーコの飼い主に!? そんな急展開が!?」 亜鈴はヨコの顔を見ながら、ミィーコを家で飼おうと子供が親に欲しいモノをねだる様な表情で言った。 それを聞いたヨコは、突然の発言と同時に、まさかの新学期早々にミィーコの飼い主が決まったのかと思い、驚きを隠せない様子でいた。 そのあまりにも突然の発言は、ミィーコを抱いていたヨコだけでなく、すぐ近くにいたメグとチノとサイカも、驚きを隠せない様子にさせてしまった。
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