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背中にしがみ付く様に隠れている亜鈴に、ヨコは先程のチノは怒りながら言っていたのではないという事を、後ろにいる亜鈴を見ながら言った。
すると亜鈴は、ヨコの背後から顔を半分くらい覗かせながら、チノの顔を見た。
そして、すぐに亜鈴はヨコの後ろから姿を現した。
「にしても、なぜリンはヨコ以外とは会話をしないのか、改めて気になるな」
「それは、亜鈴が単に人見知りをしているからじゃない?」
「ほう、人見知りとは?」
「人見知りってのはね、知らない人を見たら恥ずかしがったり怖がったりする事よ。また、コミュニケーションや人付き合いが苦手な人にも使われる言葉ね」
ヨコの後ろからヒョッコと現れた亜鈴を見て、チノはなぜ亜鈴はヨコ以外とは会話をしないのか改めて疑問に思った。
その疑問にメグが答えた。メグが言うには、亜鈴はどうやら人見知りな子らしい。
「なるほどね。それでリンは私達とは会話をしようとしなかったのか」
メグから人見知りの詳細を聞き、亜鈴がヨコ以外と喋ろうとしなかった理由が分かり、チノも納得をした様子になった。
「多分、これはあくまでも私の推測よ。ところで洋子、亜鈴は私達と会う以前もこんな感じだったの?」
「う~ん、詳しくは分かんないんだけど、確かにあまり亜鈴が喋るところは見ないかな?」
そして、メグは確認をとるかのようにしながら、ヨコに亜鈴は以前もあまり人と話をしなかったのかを聞いてみた。
するとヨコは、少し考えながら答えた。
「そうよね。今まで私達が見てきた分にしても、亜鈴が他人と喋るって事は滅多になさそうね」
「じゃあ、このまま亜鈴が他人と喋ろうとしなかったら、どうなってしまうの?」
「そうね。もしこのままずっと他人と喋ろうとしなかったら、大人になった時に困る事になってしまうわ」
もしこのまま亜鈴が、他人と喋る事がなく大人になった場合、色々と困る事が出てくるとメグは、亜鈴を心配した様子でいるヨコに話した。
「会話がまともに出来ずに困る…… そっ、そんな亜鈴は嫌だよ!」
メグの話を聞いたあと、ヨコは他人と会話をしない事で社会に出て苦労する亜鈴を見たくはないと思った。
「そうさヨコ。もしこのまま人と話さなければ、大人になった時にはコミュ症と周りから呼ばれてしまうんだよ」
更に、メグの話を聞いていたチノも、ヨコを余計に心配させるような言い方で言った。
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