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「てか、今日警報が出てるだろが!! なんでこんな日に来たんだよ」
「警報が出てるからに決まってんだろ。警報が出てるから外に出るなと言われたら、普通余計に出たくなるもんだろ?」
「んな訳あるか!!」
力ずくでドアを引っ張るチノに対し、力ずくでドアを閉めようとするメグは、警報が出ている日になぜ来たのかを、必死になった様子で聞いた。
するとチノは、警報が出ている日には家の外へ出るなと言われると、逆に警報が出ていようとも外で遊びたくなるタイプだったようである。
「それに今日は私だけでなく、ヨコにサイカにリンだって一緒に来てんだよ!」
「え!? それホントなの?」
ドアを必死に閉めようとするメグに、ヨコとサイカと亜鈴も一緒に来ている事をチノが伝えると、メグはあっさりとドアから手を放した。
「おいおい…… ヨコやサイカやリンの名前を出した途端、ドアを閉めようとするのを止めたな……」
ヨコとサイカと亜鈴の名前を聞いた途端、ドアを閉めようとするのを止めたメグを見たチノは、少し虚しそうな様子になった。
「ホントだよ~ん、メグちゃん。来ちゃったよ!!」
「こんにちは、メグさん。それにしても台風って、予想以上に凄いですわね」
ドアが台風の強風で、ゆっくりと開いた先には、レインコートを着用したヨコとサイカと亜鈴が立っていた。
しかし、レインコートの効果も、この大雨ではあまり役にたたなかったようであり、フードは頭から外れており、髪がびしょ濡れになっていた。
それでもヨコとサイカは、いつも通り元気そうな様子でいた。
「ありゃあ…… もう、髪がずぶ濡れじゃないの…… オマケにレインコートもずぶ濡れね。これじゃあ服まで完全に濡れているわね」
玄関前に、ずぶ濡れの状態で立っているヨコとサイカと亜鈴を見たメグは、少々呆れて驚いた。
「うん! もう完全に服が全部濡れちゃったよ。さすがは台風、かっぱを着てても効果なしだよ」
「洋子…… そんな事言っていないで、早く身体を拭かないと風邪を引くわよ」
「大丈夫だっだっ…… ハックッション」
「ほら、言わんこっちゃない。さっ、こんなとこに立っていないで早く風呂場に直行よ」
濡れた服と共に、台風のアピールをしようとしたが、濡れた服と台風の強風のせいで、ヨコの体温が下がっていたのかクシャミをしてしまった。
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