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「はいはい、そう慌てずにも、すぐに飲めるわよ」
グラスを持って、早くそのビールの様に泡がよく出るジュースを飲みたくて落ち着きがなかったヨコとサイカを、メグはとりあえず落ち着かせようとした。
「あとは…… はいっ、これは亜鈴ちゃんの分よ」
そして、ヨコとサイカに落ち着いてもらうよう一言声をかけた後、メグは最後に、部屋の隅っこの壁に持たれて1人スマホをいじっていた亜鈴にも、持っていたグラスを渡した。
「ほらっ、そんな所で1人でいないで、私達と一緒に飲みましょ!」
「あっ!!…… あ、あっ…… ありがと」
スマホに夢中になっていた亜鈴は、メグからグラスを渡された時、戸惑った様子でいた。
そして、グラスを手に持った亜鈴は、ヨコとサイカのいるすぐ側へと歩み寄った。
「ほいっ、メグ。このグラスを渡すね!」
「あっ、ありがと」
先程まで両手に持っていたグラスをヨコとサイカと亜鈴に渡してしまい、グラスを持っていなかったメグに、チノは2つ持っていたうちの1つのグラスを渡した。
それから、全員がグラスを持ったのを確認したチノは、一旦持っていたグラスを床に置き、ビニール袋に入っていたビンを取り出した後、各グラスの中にビールの様に泡が出るジュースを注いで行った。
「うぉお、これがビールのようなジュース。本当に泡が出てきているよ!」
持っていたグラスの中に、ジュースが注がれているのを見ていたヨコは、本当にビールの様に泡が出ていた為、目をキラキラと輝かせながらその光景を見ていた。
そして、全員分のグラスの中にジュースを注いだ後、チノはこれから宴会でも始めるようなノリで、乾杯を始めようとした。
「せっかく、夜遅くまでみんなで一緒にいるんだからさ、思いっきり楽しもうよ。それじゃあ、かんぱーい!!」
「かんぱーい!!」
チノが、グラスを持っている右手を腕いっぱい大きく伸ばすと、それに続くようにして、ヨコとメグとサイカと亜鈴もグラスを持っている側の腕を天井に向けて伸ばした。
それから、それぞれ隣にいる人のグラスと自分の持っているグラスを軽く当て、乾杯をした。
乾杯をした後は、各自それぞれがビールのようなジュースの味を確かめるように飲み始めた。
「確かに、お酒のようなアルコールの匂いもなく、ジュースの味ね」
「そうですわね。こんなジュースならいくらでも飲みたいですわ」
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