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ビールの様に泡が出るジュースを飲んだメグとサイカは、飲んで感じた事をそのまま口に出して言った。
「だろ。本当にビールではなくジュースって所が、珍しい飲み物だってのを思わせるよな」
美味しいそうに飲んでいるのを見たチノは、嬉しいそうに自慢話をするかのように喋り出した。
「うん、……美味い」
「だろだろ、やっぱりリンも美味いと思うだろ!」
恐る恐るグラスに唇を当てて飲んでいた亜鈴も、チノが持って来たビールのようなジュースを美味しいと感じた為、またしてもチノは高飛車な気分となった。
「ん~ やっぱり本物のビールも、このジュースの様に甘いのかな?」
「いや、さすがに大人が飲むようなビールは甘くはないと思うよ」
グラスの中に入ったビールのようなジュースを両手で持って飲みながら、ヨコは本物のビールも今飲んでいるジュースと同じように甘いのか疑問に思った。
それを聞いていたチノに、本物のビールは甘くはないとツッコミを入れられた。
「思うよって事は、まさかチノちゃん、ビールを飲んだ事があるの?」
「あくまでも味見の一口だけだったからな…… 親父が飲もうとしていたビールをこっそりと……」
「味見でも、飲んだ事には変わりないね。チノちゃん、おっとな~」
「大人とか、そんな大げさなモノじゃねーよ」
ビールを一口だけでも飲んだ事でヨコから大人と言われたチノは、ほんの少し恥かしがるように照れた様子を見せた。
「ビールを飲むと言ったら、サイカこそビールを飲んだ事あるんじゃない?」
「え!? なんでですか」
「だってほら、サイカが以前に住んでいた国だと、ビールがよく飲まれている国だって親父が言っていたもんで」
「いくらビールをよく飲む国であっても、子供は飲みませーん!!」
サイカが以前に住んでいた国では、ビールが有名である事から、チノがサイカにもビールを飲んだ事がないか聞いてみたところ、サイカは真っ向から否定した。
「いくらビールが有名だからって、皆が皆飲んでいるとは限らないだろ。日本でも全員が日本酒を飲まないように」
そして、横からメグがグラスに入っているジュースを飲みながら、話に割り込むような形で言って来た。
「やっぱり、そんなものなのか実際は」
「そんなものよ。何事も第一印象だけでイメージそのものを勝手に作り上げてはダメよ」
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