第一章

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フラれちゃった……。それは初めての失恋。 悲し過ぎる現実に、打ちのめされた理子。 スタスタと前を歩いて行く悠ちゃんの後ろ姿を、ただジッと見つめていた――、なんて、ここでメゲる私じゃないもんね~! 私の勇気はまだしぼんでないしっ! 「悠ちゃんっ!」せいいっぱいの大声で叫んだら、ゆっくりとだけど悠ちゃんが振り返ってくれた。 あぁ、その姿すら、かっこいい 「――何?」 面倒臭そうに返された返事には気が付かないフリをして、小走りに近づく。 「私、冗談じゃないよ? 理子本気だから! 本気で悠ちゃんの彼女になりたいの!」 困惑気味の悠ちゃんを目を逸らさずジッと見つめ続けたら、小さくけれど思いたい息を吐いた。 「何を血迷ったか知らないけどさぁ……無理。あきらめて」 ガーンと漫画のような効果音が本当に聞こえた気がした。絶望に固まる私を置いて、さっさと、再び、歩き出す悠ちゃん。 あぁ、行っちゃう……。
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