第五章

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「理子、お前……」俺の問いかけは、 「あっ、悠ちゃん、今日はバイトないの?」あっさり理子に遮られた。 「え、あぁ……休みだけど」戸惑いながらも、返事を返す。 「そうなんだ! 休みでよかったね~」何故だかはしゃいでいる。 「え、あぁ、うん……まー、それより理子」 少しだけ身を乗り出した俺の言葉は、 「悠ちゃん、今日は帰るの?」またもや、遮られた。 はっ? 唖然とする俺に、 「こっちに泊まるの?」矢継ぎ早の質問。 「……」どうやら、俺に話をさせる気はないらしい。 わざと、だよな? 質問されたくないから? 訝しむ俺に、 「明日は? 明日はバイトあるの?」 質問するくせに俺の返事は待たずにべらべらとしゃべり続ける。 「悠ちゃんのカフェのバイトに行って見たいなー、やっぱりおしゃれなの? そうだ、BARって、どんなところ? 理子そこにも行って見たい! あっ、けど、未成年だからダメなのかな? あー、あと」「ストップ!」 いきなり顔を近づけ、強い口調で理子の言葉を制止した。 びくっと大きく肩が跳ね、理子の長いまつ毛がかすかに震えた。
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