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ムッとしつつも、俺はニッコリと満面の笑みを浮かべた。
「そうか、わかんないか……、なら仕方ねーよな。それなら、そうだな……質問を変えてみよう」
「……」理子が複雑そうな顔で俺を見ている。
「俺たちは会うのが久しぶりだもんな。新しい学校はどうだ? 毎日、楽しいか?」
「え……」相当予想外だったのか、間の抜けた表情をしている。
「え、じゃねーよ、楽しいか? って聞いてんだけど?」
「あっ、うん……楽しいよ」
「そうか、それはよかった。新しい友達は? 気の合う子は見つかったか?」
「うん、できたよ……」
「友達の名前は?」
「えっと、絵里ちゃん」
「絵里ちゃんね」名前を繰り返した俺の事を、理子は不思議に思っているに違いない。パチパチと瞬きを繰り返している。
俺は少しだけ理子に近づき、
「あとは? そうだな、学校で困ったこととかはないの?」探る視線に戸惑う理子。
「困ったこと……。ないよ、毎日楽しい」
「そう……なら、学校出た後は?」
「えっ…」一瞬、動きが止まり、さらに顔を近づけた。
「誰かにジロジロ見られたり、何処かで待ち伏せされたり――」
理子が小さく息をのむ。
「何かわたされたり――」見開かれた瞳。
俺から慌てて視線を逸らした。そしてその横顔は、不安そうに見える。
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