第五章

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「聞かれてる意味が、よくわかんない」 そう呟く理子はかなりの頑固だ。 顔は俺から逸らしたままだけどね。 気に入らないね~。 理子から笑顔は嘘のように消えている。 その態度に不機嫌に眉をひそめた俺は、 「そっか、なら理子、この言葉の意味は?」 問いかけながらも、その言葉を切り出さない俺に、根負けした理子が俺へ視線を戻す。 たっぷり数秒目を合わせて、それから俺は口を開いた。 「階段に気をつけろ」ハッと小さく息をのむ音。 「その様子じゃぁ、心当たりがありそうだよなぁ」グッと唇を噛みしめている。 「あれはーー、理子、お前宛の手紙だよな?」 「どうして悠ちゃんがそれを……」 理子の顔が引きつっているーー。
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