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理子はみるからに動揺していた。
「えっ? なんで? なんで悠ちゃんが?」
パニック気味の理子に、俺は右手を目の前にかざし言葉を遮った。
「理子、質問は受け付けない。言ったよな、今は俺の番だ。まさか忘れたとは言わないよな。さっきちゃんと確認したよな」
「あっ」
「したよな?」圧力ともいえる俺の問いに、頷くしかない理子。
それを見て俺はニンマリと満足気な笑みを浮かべ、
「理子が納得したところで、俺の質問の続きに答えてもらおうか」
理子の瞳は不安気に揺れているーー、が俺はやめるわけにはいかない。
「あの手紙は、理子お前が持っていた、そうだよな?」
「……」
「そして、あれは高橋がお前に書いたもの、そうだろ?」理子を責めているつもりはなかったけれど、俺の言葉に理子は今にも泣きそうだった。
その悲しそうな顔にズキズキと胸の奥が痛む。
「理子、お前……、高橋に会ったのか?」
苦しい俺の問いかけに、理子はフルフルと泣きそうな顔で首を振った。
よかった……、会っていない。
高橋が理子に接触してきたわけではなかった。
その事実に、俺は心から安堵した。
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