第五章

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理子はみるからに動揺していた。 「えっ? なんで? なんで悠ちゃんが?」 パニック気味の理子に、俺は右手を目の前にかざし言葉を遮った。 「理子、質問は受け付けない。言ったよな、今は俺の番だ。まさか忘れたとは言わないよな。さっきちゃんと確認したよな」 「あっ」 「したよな?」圧力ともいえる俺の問いに、頷くしかない理子。 それを見て俺はニンマリと満足気な笑みを浮かべ、 「理子が納得したところで、俺の質問の続きに答えてもらおうか」 理子の瞳は不安気に揺れているーー、が俺はやめるわけにはいかない。 「あの手紙は、理子お前が持っていた、そうだよな?」 「……」 「そして、あれは高橋がお前に書いたもの、そうだろ?」理子を責めているつもりはなかったけれど、俺の言葉に理子は今にも泣きそうだった。 その悲しそうな顔にズキズキと胸の奥が痛む。 「理子、お前……、高橋に会ったのか?」 苦しい俺の問いかけに、理子はフルフルと泣きそうな顔で首を振った。 よかった……、会っていない。 高橋が理子に接触してきたわけではなかった。 その事実に、俺は心から安堵した。
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