第五章

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だとしたら、やはりあれは警告? それとも、忠告? なんだ? アイツは何がしたい? 大野にゲームだと言ったアイツの本当の目的は? ぐるぐると考えこんでいたら、ギュッと理子か俺の袖口をつかんだ。 ハッと意識をそちらに向ければ、理子がポツリと言った。 「悠ちゃん……明日は――」話の途中で黙り込む。 「どうした?」視線が彷徨う理子が心配で覗き込む。 「あっ、明日は――」理子の声は震えていた。 明日? 明日は何の日だ? 理子が言おうとしてる事がわからず、ただその言葉の先を待つしかない。 震える睫毛。 さらにギュッと袖口をつかむ理子の小さな手に力が入り、俺は心配でたまらなくなる。ただ見ていることしかできないなんて……。 狂おしいほどの切ない気持ちが俺の中から溢れだした時――、 「理子が怪我した1年前の、あの日なの……」
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