私の恋

第五章

理子side
どこか難しい顔で何やら考えていた悠ちゃんが、もう行くと言った。
勝手にもう少し一緒にいられると思い込んでいた私は落胆する気持ちを隠せそうにない。
悠ちゃんの横顔を見上げていると、寂しいという気持ちがこみ上げてくる。
自分から連絡を絶っていたくせに、会えたら嬉しくて溢れ出す感情を止められそうにない。
悠ちゃん、と今にも手を伸ばしてしまいそう。
これ以上迷惑をかけてはいけないのに、我慢しなきゃと唇を噛みしめる。
悠ちゃんはポケットからスマホを出し何かを確認している。
そして、画面を睨みつけながらこう言った。
「理子、悪いけどちょっと状況が変わった。もう行かなきゃいけないっ」
それはお別れの言葉だった――。
次いつ会えるかなんて、わからないのに――。
そう思ったら涙が止まらなくなった――。
泣いたらいけないのに……。
「あ……」
振り返ったら私が泣いていたせいで、悠ちゃんが目を丸くして驚いている。
早く泣き止まなきゃ……そう思えば思うほどに、ポロポロととめどなく流れていく涙。