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頬杖をついたままで、下から俺を見上げるような亜美の視線。
それなのに、何故見おろされてるような威圧感を感じるのだろうか。
綺麗な顔立ちがさらに存在感を大きく見せているようにも思う。
亜美から滲み出るオーラとういうか、そのまとう空気感に、俺は気を許せば飲み込まれそうに感じていた。
「で?」亜美が一言。
「えっ?」俺に鋭い視線を向ける。
「そっちのお願いを聞いた私のメリットは、何?」
唖然。まずそこなの?
「メリットって――、内容も聞いてないし、できるかどうかもわからないのに?」
憮然と言い返した俺に、亜美は鼻で嘲笑う。
「本気で言ってるの? 私にできない事なんてないわっ」そう言って優雅にカクテルを一口。
「……」すごい自信だ。本当に何でもできると思っているのだろうか……。
「で、何度も言わせないで欲しいんだけど私のメリットは?」
少し怒ったような亜美がチラリと俺を一瞥する。その様子はご機嫌とは言えないが、一応話を聞こうとしてくれている。このチャンスを逃すわけにはいかない。俺は亜美と目線を合わせハッキリと言った。
「俺にできることはすべて、望むままに――」
「……」細められた目線。さらに鋭さを増して俺に穴があきそうだ。
「それって……私の思いどうりにってこと?」
「あぁ……」
亜美の赤い口紅がついた口角が上げる。
「なんでもするの?」
「亜美が望むことならば……」
俺の返事に亜美は妖艶な笑みを浮かべた。
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