第一章

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「あのっ、お、お、お願いが……あって……」 勇気をだして言葉を紡いだけれど顔はあげられなかった。 「お願い?」 聞き返されて、チラリと目線をあげたら……意外にも、悠ちゃんが身体ごと理子の方に向いてくれていた。あっ……ちゃんと聞いてくれようとしてる……? 悠ちゃんの微妙な態度の変化に、緊張でガチガチになっていた身体が少しだけ、楽になった。「あっ、あのね」 「うん?」 さっきよりも、ちょっとだけ優しくなった問いかけに、理子は心の中で安堵した。がんばれっ! 私っ! 自分で自分を励まして…… 聞きたいことがあるのっ!」 「ん、何?」わずかに小首を傾げた悠ちゃんが、かっ、かっこよすぎる~ ゴクリと唾を飲みで… 「あのね、悠ちゃんの好みのタイプは、髪が長い人?それとも短い人?」 一気にまくしたてた。  「はぁぁぁ?」 綺麗な顔には不似合いな深い眉間のシワと、完全に呆れはてた声の不機嫌な悠ちゃん。
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