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あれは、満月の夜。
桜の下にいる、直垂を身に纏った少女。
桜は月に照らされ、まるで光り輝くよう。
ひらりひらりと落ちる桜の花びらは、綺麗に舞い落ちる。
少女はまだ幼い容貌をしており、しかし、髪は艶々とした黒髪に透き通るような白い肌。
それは、大切にされているのだと感じられるものだった。
そして、「桜の妖精」と例えるにも頷けるほど……彼女に桜が似合っていた。
あれは、自分。
しかし、桜の木には視線を向けず、俯いたままで。
先程の場面を思い返す。
震える唇を引き結び、私は呟く。
「お願い……散らないで……」
あの時、私が見た光景は――。
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