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「…………っ」
自分の横腹に痛みがあった。横腹を触れば、赤い、また乾燥したからか黒く変色した血が手につく。
……熱い。意識が朦朧とする。弾き飛ばされた刀に視線をやる。
あれは……父からの形見で、宝の1つ。
『双家刻刀』――源氏と平氏が、助け合って生きていた時に作られた刀だった。
憎悪に染まってしまったのは、いつからかは解らない。
俺が源氏を憎んだのは、一人の家人の言葉が幼いながらに深く傷付いたからだった。
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