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「いや」
行こうと思えば行けるのだ。
ただ、植物たちはツィモナを離しはしなかった。
行くには植物たちを説得するか、引きちぎらなければならない。
それは嫌だ。
「いやだ」
森が焼けていく。炎が広がる。
緑の死の匂いがツィモナの鼻をついた。
そこでようやく、ツィモナの目に涙が浮かんだ。
とめどなく溢れてくる。
大粒の涙は頬を滑り落ち、地面に吸い込まれて染みをつくった。
「いや・・・!」
ツィモナはブーツに絡みついていた植物たちから逃れるために、宙を飛ぶ勢いでブーツを脱ぎ捨てた。
別の木の葉がツィモナを絡め取ろうと枝葉を動かすも、ツィモナの飛行速度には及ばなかった。
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