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ツィモナは真っ直ぐ森の奥へと向かった。
黒い煙の中をツィモナは突き抜けた。
手袋が嵌った方の手で口を抑え、下を見下ろす。
どこか、燃えていないところは・・・!
ツィモナは忙しなく視線を彷徨わせる。
そうして、まだ辛うじて生きている植物たちの元へ降り立った。
やってきたツィモナに植物たちはざわめいた。
“なぜ来たのか”“早く逃げろ”と困惑し、ツィモナを炎のない方へと追いやろうとする。
「いやっ・・・!」
ツィモナは近くの木にしがみついた。
「いやだ、みんないなくなる・・・。ここは私の・・・!」
大切な、居場所なのに。
外の世界は怖くて、出られないのに。
「死なないで・・・」
だけど逃げられない。
“無理だ、分かっているのだろう”と、植物たちはツィモナに擦り寄った。
“せめて逃げて、また豊かな森を育んで”
「いやだ、怖いよぅ。ここから出たくない・・・!みんながここにいるなら、私もここに――」
ドオン、と爆発音が響き、熱風が押し寄せた。
どこかが爆破されたのか。
ここもすぐに火の海になる。
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