ツィモナ*過去

7/22
前へ
/46ページ
次へ
「みんな?」  男性が訝しそうに首を傾げた。  彼からすれば、ツィモナのいう“みんな”が誰のことを指すのかが分からないらしい。 「植物たち。炎がダメなのに・・・逃げられないから・・・苦しんで・・・っ」  そこで男性は、ツィモナの能力を見抜いたらしかった。  彼は近くの木にツィモナを引き寄せた。 「この木はなんと言っている」 「・・・・」  なぜこんなことをするのか分からなかったが、ツィモナは木の声を聞く。  変わらない。先ほどの植物たちと。 「・・・・」 「なんと言っている」  黙ったツィモナに、男性は重ねて訊ねた。 「・・・・・に、逃げろ、って・・・」 「そうか」
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加