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男性はそう言って、ツィモナの腕を引っ張った。
ブーツを履いている方の足に力を入れてその場に留まろうとし、ツィモナは必死で男性の腕を剥がそうとする。
「は、離して・・・!私は・・・!」
「このままお前が死んだらどうなる」
「別に・・・!」
「どうにもならないだろう」
「・・・・・」
静かに見返され、ツィモナは黙り込んだ。
「植物はお前に逃げろと言った。お前はその意思を汲み取るべきなのではないのか。
こんな炎のなか、お前が生きていられたのは植物たちのおかげなのではないのか」
「・・・・」
「そいつらの気持ちを無駄にするのか。お前は」
透明な雫が、ツィモナの頬を転がる。
それはポタポタと頬から滴り落ちて、ツィモナは俯いた。
「助けたいんだろう。ならば死のうとするな。
こいつらのために、今自分が出来ることをやれ」
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