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彼はネクタイを首にかけたところで手を止めて、ぼんやりとわたしを見つめると、なんでそこにいるの? と言いたげに首をかしげた。
わたしはおかしくなって笑いながら
「今日はお休みじゃなかったの?」
と訊いた。
「あ・・・」
と彼は声を上げて、額に手をやる。
彼はそのままの動作でわたしの横に腰を下ろすと、マグカップを手にとって口づけた。
わたしのために淹れたコーヒーはまだ飲んでいなかったけど、大量に砂糖が入っている。
彼は無表情に一口飲んだあと、
「甘い」
と顔をしかめた。
そんな彼が子供みたいに可愛く思えて笑みがこぼれた。
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