種子

14/17
前へ
/48ページ
次へ
明日もおそらくPKに襲われるだろう。 「TheWorld」の治安はまだ悪い。 それは現実社会な歪みのせいである。 一体いつ、その歪みが消えるのかは誰もしらない。 悠はふと水面下の腕に目わやった。 これもまた、歪みの影響なのだろうと皮肉にも笑った。 人間とはおもしろい。 自分も含めつくづくそう思う。 人間は何故こうなるのだろう。 考えたら不思議と笑みが零れてきた。 「まぁ、良い。」 そう呟いた声は浴室内に鈍く反響した。 悠は風呂からあがると自室へと向かった。 扉の前でため息一つ落としていった。 落ちたため息はゆっくりと空気中を飛散していった。 ドアノブに手を掛けひねる。 すると手首に激痛が走った。 悠は驚きドアノブから手を離した。 手首を見ると大きく腫れ上がっていた。 しかも、両手首だ。 悠は黙って手首を見つめていたが、見ていても治らないので痛いながらもドアノブを回した。 一体自分に何があったのだろうと思いながらベットに腰掛けた。 もしかしたら、また例の症状だろう。 「TheWorld」の怪我がリアルに影響する、不可思議な症状。 それは、半年以上前から続いていたが、為す術もないので悠はずっと黙っていた。 自分は「TheWorld」と繋がっている。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加