種子

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この世の何処にそんなユーザーが居るのだろうか。 CC社はそんな事に耳を傾けはしないだろう。 それだけを思うと悠は立ち上がり机へと向かった。 勉強しなければならない。 親が悠に期待していること。 それは、兄や自分達と同じように学業優秀になることであり、医学部に行かせることである。 それこそが、悠にとっての一番の負担である。 悠はあまり勉強が出来ないのだ。 だが、悠自体はそれ程悪くはないのだが、兄親達があまりにも優秀過ぎたのだった。 悠が末娘だからと母は無理しなくていいと言うが、会話の時さり気なく愚弄してくる。 悠はそれを聞く度に心に影が差すのを感じた。 萎縮する心をどうにかしてやりたかった。 頭では、平気だよ!と言っているのだが心がわかってくれない。 悲しい痛みだった。 悠は目に涙を浮かべながらもシャーペンを手にし勉強をはじめた。 黙って手を動かした。 2・3時間程するとその手がとまった。 「……ふぅ。」 シャーペンを投げるように置いた悠はパソコンを起動した。
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