発芽

3/19
前へ
/48ページ
次へ
パァァン 悠はそれを片手で払った。 ジアハートはその時初めて「TheWorld」のイリーガルな値に気付いた。 「な、なんなのさ!?」 ジアハートは狼狽した。 しかし、狙った獲物は逃がさない。 再びペインに切り掛かる。 「一双燕返し!!」 双剣が地面を這ってペインを襲った。 だが、それは鎌に阻まれた。 「無駄……」 悠は呟きジアハートを弾き飛ばした。 「きゃぁぁ!!」 粉塵を巻き上げながら少女は無惨にも地面を転がった。 悠はそれに新たな快感を覚えた。 殺意が跳ねた。 鎌を握る手に力を込める。 重い鎌が血を求め空気を斬り、そのまま少女を襲う。 刹那、死をあらわす灰色が表示された。 少女は死んだ。 死体はただ横たわっていた。 「あっけないなぁw」 悠は武器を剣に持ちかえ死体をポンポンと叩いて弄んだ。 それは、ユミと一緒に居た時には考えられない行動であった。 悠は例え相手がどんなに低俗でも屍を愚弄はしなかった。 ユミが見たら幻滅するだろう。 それが脳裏によぎった。 すると、たった一瞬だけ手に握ったコントローラーとM2Dの感覚がかえってきた。 しかし、それは微睡みの夢のように消え去った。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加