発芽

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ポーン 音に振り替えるとそこには少年の双剣士が、蒼炎を身にまといたたずんでいた。 少年はまさに逸脱した存在だった。 それを見たら全身の毛が粟だつのを感じた。 殺られる? 直観的にそう思った。 足が動かない、ならば戦うしかない。 だが、勝てるのだろうか? 悠は剣を正面に構えた。 「……ぁぁぁぁぁあ……」 少年が唸りにも似たような声をあげた。 それは人間のものではなかった。 こいつ……?まさか? 《三爪痕・トライエッジ》!? 《三爪痕》……奴にPKされたPCは2度と「TheWorld」にログイン出来ないと噂の奴か……。 悠は恐怖に胃が萎縮した。 生唾を飲み込むが、喉はまだ張り付いたままだ。 来るっ!! 三叉の双剣を構え滑るように三爪痕が襲い掛かってきた。 第一撃が脳天を狙うべく真っすぐと振り下ろされた。 辛うじて剣で受けとめるが、膝が折れてしまう。 「あぁっ!!」 衝撃と共に激痛が全身を駆け抜けた。 悠がまだ膝をついている中三爪痕は二撃目を悠の腹に叩き込んだ。 「っ!!!」 腹部に耐えがたい痛みと血の熱を感じた。 声すら出なかった。 無抵抗に地面を転がっていった。 次で終わりだ…… 死期を悟った。 ただそれだけだった。
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