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少年はとどめをさすために振りかぶった。
悠は目を堅く閉じた。
しかし、何も起きなかった。
ん?
まつ毛が細かく震え視界が少しずつ広がってきた。
少年は腕をダランと垂らしたまま自分の背後を見つめていた。
そこには黒い斑点が蟲のように宙をうごめいていた。
な、んだ、あれは……
悠は痛みを忘れ、呆然としていた。
その黒い斑点は、少年と同じくイリーガルなものであったが悠は異様な気配を感じた。
そして、何処となく自分と同じ刹那の匂いを感じた。
その斑点は生きていた。
斑点は三爪痕を見つけると流れる墨のように襲い掛かった。
すると三爪痕は応戦し、斑点の攻撃をかわしながら反撃までし始めた。
三爪痕の動きにはまるで無駄がない、斑点に襲われていたのが自分だったらと思うと悠は身の毛がよだつのを感じた。
流石、伝説のPKって奴か……
悠は自分の窮地など忘れ戦闘を魅入っていた。
すると三爪痕が斑点から十分な距離を取り腕をますっすぐ斑点にむけた。
三爪痕、一体何をするつもりなんだ?
悠は三爪痕とその先の斑点を凝視した。
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