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三爪痕の手首に光の腕輪があらわれた。
腕輪は夕焼け色……黄昏色をしていた。
そして黄昏の腕輪は花が開くように、蜘蛛が足をのばすように展開された。
悠はそれに美意識が芽生えるのを感じた。
美しい……
感動にも似た想いに鳥肌が立った。
キュイィィィィン
黄昏の腕輪が快音を立てて回転した。
チュドーン
腕輪の中心、三爪痕の手から光線が放たれた。
その光線には螺旋状に1と0、すなわちデータがまとわりついていた。
光線か斑点に命中した。
そして斑点が苦しそうに悶絶したかと思うと、斑点がボロボロと崩れてきた。
斑点の崩れた辺りから「TheWorld」のグラフィックが剥がれ1と0の灰色になっていった。
フィールドが崩壊をはじめた。
地面は割れ、空は切り裂かれ、月も歪になっていった。
悠はそれを眺めていた。
「TheWorld」が壊れた……
それだけをボンヤリと思うと三爪痕と目があった。
焦燥を感じた。
自分も壊されるかと思った。
「三爪痕……あたしはまだ死ねない!!」
それを叫んだ瞬間ペインは光の粒子となりフィールドから消えていった。
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