17人が本棚に入れています
本棚に追加
「なっ!何だよ!?」
悠は縛られたままの腕で必死に少年を突き放そうとするが少年の体重と力で思うようにいかない。
よくよく見ると少年の顔の赤さは尋常なものではなく酒臭い事から泥酔状態に近いことがうかがえた。
そして自分の体内にもアルコールが相当量ながれていた。
力が入らない。
少年の重みに意識が薄れてきた。
っ……意識が……
「オイ橘、馬鹿野郎!離れろよ」
茶髪のロン毛が黒髪の短髪の少年を悠から引き剥がした。
「女!お前、名前は?」
「え?」
悠は薄い意識の中で聞き返した。
「名前だよ!な・ま・え!いつまでも《女》じゃ嫌だろ?」
そう言って茶髪のロン毛が笑った。
「名前は、悠 」
本当に名前ダケを言った。
すると茶髪のロン毛が腹を抱えて笑った。
「ホントに名前しか言わねぇのな!悠、俺は烏丸 修(からすま おさむ)ってんだ!よろしくな♪」
そう言っては修は悠の腕を解放してくれた。
「ありがと、烏丸さん」
腫れていたのに縛られた手首を擦りながら悠は修に礼を言った。
「烏丸さんじゃなくて、修って呼んでくれよ!」
すると、修は何処から取り出したのか悠に湿布と包帯を手渡した。
「ありがとう」
悠はそれ以外に言うことは無かった。
「痛かったろ?」
最初のコメントを投稿しよう!