発芽

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「痛いのは慣れてる」 湿布を受け取りながら悠は素っ気なく答えた。 「慣れてたって痛いだろ?」 修は缶ビールを飲みながらあどけなく聞いた。 「でも、昔より痛覚鈍いしそんなに気にならない」 慣れた手つきで悠は湿布と包帯を手首に巻いた。 「大丈夫か?」 「和人、お前が言えたタチかよ」 修は悠に話し掛けてきた橘和人(たちばな かずと)に呆れた声で言った。 「だってさぁ、俺のせいとはいえ心配なもんは心配なんだよ……」 和人はそう言うとしょんぼりと俯いた。 「いいよ、気にしてないからさ」 悠は包帯の巻かれた手でポンと背中をたたいた。 すると和人は― 「駄目だろ!女の子なんだからさ!」 「襲った俺等が言える台詞かっ!?」 修がペシッと和人の頭を叩いた。 「ん~」 修が悲しそうに呻いた。 「やめてやってくれよ」 悠が修を和人から守るようにグィと引き寄せた。
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