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その姿は死者を連想させた。
パソコンの傍らのM2D(マイクロ・モノクル・ディスプレイ)から微かに光が漏れている。
その光は、ネットゲーム「The World」 からのシグナルであった。
さかのぼる事数年前……悠は少々荒っぽいが律儀な少女だった。
しかし、数年間の間に彼女を取り巻いた問題によって悠は少しづつだが着実に壊れていった。
そして今――
彼女は「The World」に興味を抱いた。
「ぉーい、ペイ~ン!!」
《ペイン》とは悠の「The World」での名前である。
ペインは名前を呼ばれるが反応を示さない。
「寝オチぃ?」
ペインの名を呼ぶ少女の双剣士。
碧い髪をバサバサっと肩の辺りで切り、東洋風の格好をしているPC(プレイヤーキャラクター)。
ユミはペインの目の前で手を振るモーションをしてみせた。
この「The World」では、コマンド入力によりそうゆう仕草も可能なのだ。
「悪い、あっちでコップ落としちまった。」
いきなりの返答にユミは奇声をあげた。
「ひゃあわぅ!?」
「近いな…」
指摘する場所が間違っている。
近くにユミがいる事ではなく、ユミが何故奇声をあげたかを指摘するべきである。![image=73397780.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/73397780.jpg?width=800&format=jpg)
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